「日記」カテゴリーアーカイブ

チャットボットにピボット

2014年、IoTゲーム提供を標榜して会社が始まりました。2年たった現在、コンシューマー向けIoTサービスはあまり広まっていない気がします。エンタープライズ分野ではヒットの声も聞くけれども。コンシューマー向けは、そろそろポケモンGOが出るということもあって、あっという間に大企業の市場になってしまった。もうベンチャー企業が勝てる市場ではなさそう。

このチャレンジの総括として、IoTゲームを成功させるためには既存のタイトルが必要だ、となりました。自分が持っている既存のタイトルはモバイルウォーズしかない。そうしてモバイルウォーズのソセイがスタートしました。ソセイさせたらIoTゲームに進化させようとしていました。

売上があがらないまま半年をかけて、無事ソセイが終わりました。さあこれから会員をどうやって増やそうという壁にぶつかりました。お金を使わない工夫はないかと探していたけど、何をするにしても最低限のお金が必要になりそうでした。先にお金を稼がないといけないか、じゃあ何をしようか。。。そんな折、チャットボットのブームが来ました。

国内では早い時期に名乗りを上げたことで、問合せをたくさん頂いてます。とにかく忙しくなってしまって、大慌て。でも急に儲かるわけもなく、ただ忙しいだけ。会員が増やせる見込みが立たなければ、維持費のなかで最も高い課金代行費から削減するしかない、ということで7月からは課金はお休みになります。サーバ維持費だけは払うので、サービスが止まることはないです。

またしばらく赤字の時期が続きますが、請負の仕事をやりながらお金を貯めて、チャットボットと連携したモバイルウォーズをつくるつもりです。

ソセイ版がそろそろ終了

昨年10月下旬から、ソセイ第二形態として始まったモバイルウォーズが、半年を経てほぼ全てのソセイを終わろうとしています。

これはもちろん機能のソセイだけで、コンテンツのソセイはとてもすぐに終わる量ではないので、しばらく毎週1回のペースでコンテンツのソセイは続きます。あと半年以上はこのペースで維持できます。

ところで、むかしのソーシャル版にあった機能のなかで、まだソセイ版では復活していない機能もいくつかあります。
たとえば、トレード、トーナメント、タロットなど。これらはいちどはソセイを試みたのですが、いろんな理由があって、すべて没にしました。

振り返れば、プレミア祭りの直前に社長が変わりました。コンテンツを矢継ぎ早に追加して、広告してユーザ集めが始まりました。それが、サービス維持に重要なことは理解できるのですが、ゲームの骨子の部分が、おざなりにされていたことがずっと気になっていました。

もともとのかたちは、サンプルみたいなものだと思っていて、これがずっと続くことになります。これから元のかたちに肉付けしてもっと面白くしようと思っていた時に、肉付けする前にお金をかけて豪華な服を着せられて、みんなの前に立たされた、みたいな感じです。

だから、新規さんにわかりにくいとか、ロボバトル飽きたとか、最近はカード買うしかしてないとか、カフェしかやってないとか、そのような問題がずっと放置されていました。

そろそろ、ソセイ版は終了として、途中からおかしくなったモバイルウォーズをちゃんと進化させる段階に来た!という宣言をしても良い頃合いのようです。

すでに「モード」を実装していますが、退屈になりがちなロボバトルを面白くする仕掛けとして非連続的な変化を起こそうという試みを始めています。モード自体にも様々な変化を出して、負けまくるのではなく勝ちまくるようにしたり、レアなモードを体験できたり、アイテムをごっそりゲット出来たりすれば、さらに良さそうです。

また、圧倒的な力の差で挑まれて負けるのではなく、力の差が調度良い人をマッチングするとか、事前にデッキを作れるとか、デッキを作るのにコストがあるとか、普通のこともちゃんとやっていきたい。

一番やらなきゃいけないのが、バトルを面白くすることなんだけど、手をいれるのに一番勇気がいるのもバトルです。バトルのファイルだけで5000行。同じような処理があちこちに混在するスパゲッティコード。バグの温床。この改善も同時に進めながら、新機能を入れていかなきゃ。

世の中はアプリが花型ですが、モバイルウォーズはブラウザゲーム。ただひたすらに、我道を行くのです。

毎週更新でも1年間

ご依頼をいただいたお仕事をしながらご飯を食べつつも、ソセイプロジェクトは進行中。

昔のデータは完璧な状態では残っていなくて、あっちこっちに散乱してるデータを組み合わせて昔の状態に戻すんだけど、記憶もあいまいなので、だいたいこんな感じかな?となってリリースする日々。

ところで、マスタデータのなかでも特に重要なカードマスタ。実はこれ、2000枚分のデータしかなかった。ぜんぶでその3倍くらいあったんだけど、プレミアも始まるしなーと探し始めたけど見つからない。

もし見つからなかったらぜんぶつくりなおしか・・カードの名前はともかくマニの設定は完全に忘れてるし、どうしよう・・と思っていたところ、昔のメンバーさんにデータあるよーと頂いたことを思い出した。

SQLのDUMPデータ。中をちゃんと見てみたら、見事に一致!しかも、シーズンマスタまで出来ていて、おおーそういえばシーズンマスタも不完全だったことに気がついた。

本当に助かりました。そして、まだリリースしていないシーズンが65個もあることに気がついた。シーズン更新だけを毎週しても1年も続くことがわかって安心しました。

今までソセイしてきたコンボも、実は14以降が残っていなかったので、mixi版コンボサイトを参考にさせていただいてました。誰が作ってくれたか知らないんだけど、この場を借りて感謝します。ありがとうございます。

会ってお話したこともない方々の、モバイルウォーズへの想いに支えられながら、ソセイが進んでる。

でもね、ただ昔を懐かしむための目的でソセイをやってるわけじゃない。モバイルウォーズは、また再び最先端に立てると思ってやっている。だからこそ続けられている。

歴史は繰り返す原則と、過去に起きたことを振り返れば、アプリが飽きたらブラウザに来る。

アプリはよく出来た立派な水槽のようだ。狭くて息が詰まる。大海原を自由に泳ぎたくなる。

そう思う人がひとり、またひとりと増えてきたときに、ここに楽しいサービスがあるよと思ってもらえるように。今のうちに、なっておきたい。

ソセイ第一期終了、第二期へ

気がつけばここ2ヶ月くらいモバイルウォーズのことしか考えてない。諸先輩方には、もっと良いやり方があると教えてもらっているにも関わらず、振り切って始めたソセイプロジェクト。2ヶ月たって、もっとも難易度の高かったロボとショップが終了し、これで第1期が終了。

第1期の目標は、ブラックボックスを無くすこと。動かなくなったときに、対応出来ないといけない。なにしろエンジニアだけで8人がかり、4年の歳月を経て運営していた巨大な大盛りスパゲッティコード。当時、自分はサーバ保守はしてたけど、プログラマとして関わっていなかったので、内容はよくわからない。

ふたを開けてみたら、想像以上に大変そうで。もうアップデートされることのない社内で開発していた独自のフレームワーク。64bitの時代に32bitのみ対応のアプリケーションが必須。枯れた技術で出来ている。

今更これらのスキルを身につけても外の世界で役にたつことはない。キャリアのプラスにもならないし知的好奇心がくすぐられる仕事でもない。あ、もちろん給料は出ない。モチベーションが上がる要素がひとつもない。

さらに、アプリが大流行の時代にHTMLゲームだし。すでにブームは過ぎたソーシャルゲームだし。どうやって会員を増やせば良いのか難題は残ったままで、経営的にも美味しさはない。それがソセイプロジェクト。

それでも2ヶ月没頭できたのは、何なのか?モチベーションの源泉はどこなのか?やっぱり、想いかな。自分だけじゃなくて、復活を望んでくれていたメンバーさんたちの想い。

売上も日々順調に上がっていることで、第1期は理想的なゴールに到達することが出来た。おかげさまで第2期に入れる。これからは、いよいよ拡大・成長への準備に入る。昔のメンバーに呼びかけて会員を増やし、サーバ移転して拡大に備えて、素材がある間は、定期的に更新していく。

素材が切れる前に、安定収益があげられる規模に到達することが第2期の目標。来年の夏くらいまで、半年くらいかけるつもり。その後は、昔の素材だけじゃなくて、新しい素材も用意したい。新しいゲームも始めたい。

 

ソセイプロジェクト

ソセイ、ソセイ言っていたら、そういう昔から何か、かたちのあるものに思えてきました。

いま、モバウォをソセイしています。

http://mwja.jp/talks/?day=sosei

 

2007年の年末頃のソースが残っていました。なんと8年ぶりのソセイです。いろんなデータがあっちこっちに散乱していて、どれが使えるのだろうかなんて考えながら、カビ臭い実家の物置のなかを探検するような気分です。

2010年頃のソースだとカバンやら降り注ぐやらがあって、バグもだいぶなおっていたのに、と思ったけれど、この時期のしか残っていなかったことが幸いしているような気がします。

まずは開始した当初の姿を見てもらって、その頃の手触りみたいなものを思い出したいなと。それからだんだん成長していくのをみんなと一緒に楽しみたい。そうそう、そうだった。みんなで成長していく姿を共有するのが、モバイルウォーズの楽しみだった。第一形態から始められたことで、いろんなことを思います。

同時に、第二形態の開発を進めています。2009年頃から、他のプラットフォームに行ったことで、だいぶ怪盗ロワイヤルとか、当時の流行に影響をうけた姿になりました。でも今回は、高負荷に耐えられる堅牢なシステムだけを取り入れて、本家があのまま成長したらどうなっていただろう?という姿を、あの頃の理想を、追求してみたいと思っています。

ただ、ソースは残っていたけど、DBがない。。。でも、ソースがあれば手入力が出来るので、まあ手入力すればいっか。

それにしても痛快なのは、何十万円もする開発ツールでゲームをつくるのが当たり前のこのご時世に、推奨されないタグで書かれて、にじんだ画像が連発するプアーもいいとこなHTMLゲームが。。時代錯誤もはなはだしいのに、なのにめっちゃ遊ばれているという不思議。8bitなファミコンのゲームをいまの時代に遊びたくなる、そんな感覚なのかもしれない。

当時はアクセスログをDBに記録する設計になっていて、しかもあちこちでリレーションして使っているので重要なテーブル。それが、1日10万レコード増えるペースで増加中。これがサーバが重い重い言われていた原因。重くなると楽しく遊べない。たぶん1ヶ月もたないので、はやく第二形態へ進化しなきゃと焦る。

たくさんの人に遊んでもらいたいのに、たくさんの人に来られると行列ができて待たせて申し訳ないという、ああこれも当時の気持ちのままだ。いろいろ懐かしい。

第二形態になれば安心してたくさんの人に来てもらえるし、課金もできるようになったら、ますます安心して開発できる。それまではしんどい時期だけどなんとか広告でしのがなきゃ。

今日も遊んでくれる方に、大感謝です。

 

モバイルウォーズとは戦争ごっこが出来る遊園地

モバイルウォーズとはなんだろう?ということをここ最近考えてる。多くの人にとっては、ゲームだと思われていると思う。でも私自身は、ゲームの1タイトルだと思えない。どうしてだろう?と考える。

おそらくモバイルウォーズとは、モバイルコンテンツから始まった私のキャリアの理想なんだと思う。理想だからはっきりとした形はない。目指しているのは、多くの人にとって最高だと思ってもらえるモバイルコンテンツ。そこにはゲームもあるし取引もあるしコミュニティもあるし、そこで過ごす人にとって心地よい時間のために意見を言ってより良いものを作り上げていくプロセスそのもの。

もともとゲームだと思って作ってないから、モバイルウォーズの続編を作って、と言われてもピンとこない。ゲームだと売りやすいからゲームを推してたけど。ゲームだと思ってないから、プラットフォームが変われば続編をつくろうという感覚もあんまりない。

それでも-Seven-という続編をつくろうと思い立ったのは、HTML5を使えば新しいプラットフォームが作れると思ったから。理想の追求を、新技術でなら再現できると思ったから。

でも当時のパートナーが求めていたのはゲームだったし、ゲームとしてすぐに結果が出ることを求められていたから、自分の思いとは乖離があり、私の役割も早く終わった。その後に出た-2-は、私には何も聞かれなかったし、普通のネイティブアプリだったので、かつて理想を追求していたモバイルウォーズではない別物だった。

振り返れば、mixiから始まったソーシャルゲーム版も、新社長に依頼された仕事としてやっていた。様々な人や会社に主導権が渡り、迷走を繰り返してきた。

モバイルウォーズという名前を知っている方が多いから、続編を作れば売れる、という考え方で良いのだろうか?いや、遊んでみた手応えが異なれば、遊んでくれた方の期待を裏切るし、モバイルウォーズへの期待値を毀損する。もっとも重要なコンセプトは守らなければいけないし、それが出来ない状況で世に出してはいけない。

もっとも重要なコンセプトは、理想を追求するプロセスそのもの。楽しさというのは誰かに与えられるのではなく、自分が楽しもうとするから楽しくなる。理想を追求する姿勢・行動に、最高の価値がある。だから、永遠に未完成。

そういう意味では、事前に用意された罠にハマったり報酬を与えられて嬉々とするゲームよりは、次にどこに行って何をしようか遊び方をその場で考えるテーマパークに近いと思う。戦争ごっこが出来る遊園地。カードゲームは看板アトラクション。ジェットコースターみたいなもの。遊園地とゲームとは、やはりどこかがちょっと違う。

今も多くの方に復活を望まれていたり、愛情を注がれていることを感じるのは、私自身のこのモバイルコンテンツの理想を求める思いが途切れていないからだと、勝手に思っている。

昔と違って今は、Webサービスやアプリが数多くある。そんな中、さあ元祖カードゲームのモバイルウォーズですよ、と出したところで、面白がられるわけがない。カードゲームの面白さは多機能になり複雑になり、今さら原点には戻れない。素晴らしい完成品が溢れているアプリ市場で、永遠に未完成なアプリがあっても、完成してから出せよと思われる。

どうすれば、いいのだろう。もう、ソフトウェアだけでは開拓の余地はないと思い、ヒントをハードに求めていた。シリコンバレー発のメイカーズムーブメントという流行があり、ハードウェアの民主化によって誰もがハードウェアを開発できるようになることで、ユニークなサービスが生まれることが期待されている。

私も、ここ最近ずっと、ハードウェアの研究をしてきて、ソフトとハードの連携の理屈と企画の勘所は理解してきた。だけど、どのように広めるかが課題だった。そんななか、ポケモンがGO PLUSというガジェットを出すことを発表した。ずっと研究してたBLE技術が使われている。狙いどころは間違っていないことが証明された。大手が市場を作ってくれることが確定した。

ユーザは、お気に入りのゲームのガジェットを持ち歩くことが当たり前になる文化を、ギジン株式会社はつくりますと言ってきた。いよいよその一歩が来年から始まる。この波に乗りたい。

 

巨人の肩に乗っている

私が遠くを見通せたとしたら、それは巨人の肩に乗っていたからです。つまり、先人たちの積み重ねた発見があったから、発見が出来たんです、とのこと。ニュートンの言葉として有名ですが、好きな言葉です。謙虚になれます。

カード合成システムだって、ドラクエ8で合成釜を楽しく遊んでいたから発見できたわけで。ソーシャルゲームも、SNSが流行っていた下地があったから、SNS+ゲームを発見できて。モバイルコミュニティの文化も、キャリアが全国各地にアンテナを立てて、メーカーがケータイを作ってくれていたから作れました。

今やっているエンタメIoTも、スマホ、BLE、Beaconなどのモノやテクノロジーが既にあります。だから、何かを発見しようと探せています。直接ユーザに提供できれば一番速いんだけど、今回はモノがないと始まらないので、なかなか敷居が高いです。前みたいに、ひとりでプログラム書いて、自宅サーバに置いて、というのは出来ません。でも、むかしながらのハード屋さんからしたら、素人が試作を出来るようになっただけ、敷居は下がったのかも知れません。いろんなことを考えては、ひとりでコツコツ試作しています。

目指すところは、単体のサービスをヒットさせることではなくて、大小問わず・国内外問わず、様々な会社のサービスが提供できる仕組み作り。このモノがあればサービスを享受できる。このモノがなければ乗り遅れる。そんなモノづくりと仕組みづくり、です。

地方で起業したIT開発会社が、VCからの資金調達に成功、パブリッシャーに業態転換を果たした後、倒産するまでの生々しい話。

このお話は、東北で起業したIT開発会社が、3年後に自社サービスを始めて、VCからの資金調達を成功させてパブリッシャになり会員70万人達成した後、倒産するまでの生々しい記録です。

システムの請負開発を事業とする開発会社(デベロッパ)にとって、自社ブランドのサービスを配信する会社(パブリッシャ)になることは、会社を大きく成長させるための夢であり、何かを失うかも知れない恐怖と背中合わせの賭けでもあります。

成功して得られるものは、「俺のサービスだ」と思えること。請負だと、たとえ何百万人の人が遊んでいても、サービスは他人のもの。自分が作ったはずなのに、自分のものとは思えない。この当事者意識の違いは、仕事の面白さに直結します。

失うものは、既存のお客様。自社サービスを伸ばすために人が足りないから、請負を断ってリソースを自社サービスに充てざるを得ない。しかし、万一自社サービスがコケたら一度断ったお客様が再び仕事をくれるだろうか?という心配がつきまといます。

私たちはこれらを乗り越え、請負業のデベロッパから始まり、地方にいながら自社サービスだけに集中、全国に配信するパブリッシャになりました。
しかし、成功は長くは続きませんでした。なぜか?

私たちの経験が、パブリッシャへの業態転換を夢を見るデベロッパにとって、何かの役に立てば幸いと思い書きます。

■創業して軌道にのせるまで

東北で創業したのは2004年、「K sound design」という名前の会社です。着メロが流行っていて、高品質で安く作ることへの需要が高く、あっという間に30人の雇用を抱える会社になりました。急成長できたのはお客様に恵まれた以外にも、未経験だったので雇用を増やすリスクについてよく知らなかったことと、仕事が新しく面白かったので若い人がすぐに興味を持ってくれたこともあるでしょう。

また、もともとは東京で働いていたので、その時にお付き合いがあった方に声をかけていただいたこと。東京の住処も残したままだったので、そこが東京の営業拠点になったことで、お客様にも身近に思っていただけたこともあったかと思います。こうして、東京の営業、東北の制作という分業が、すぐに回り始めました。

■自社サービスを志す

こうなると社長はヒマになります。ヒマになった社長は視野が遠くになり、このまま請負開発を続けていてもずっと自転車操業だから、自社サービスで高収益化を目指そう、となりました。しかし、自社サービスはすぐに儲からないし、確実に儲かる保証もありません。そこで、行政の支援を頼ることになりました。

行政の支援事業の良いところは、投資金額の何割かは補填されるので、投資の痛みを軽減させてくれます。デザイン素材は再利用出来るかたちで残るし、プログラムは陳腐化が早いのでそのままでは再利用できないけど、開発者のノウハウとして蓄積されます。

最初の自社サービスは国の支援、次サービスは県の支援を受けました。いずれもサービス単体で稼ぐには至りませんでしたが、請負業の新規顧客獲得につながりました。そして、多くのデザイン素材、開発者のノウハウを蓄積出来たことが、3つ目のサービスにつながります。

■サービス成長の手応え

3つ目のサービスは、行政の支援がないどころか、社内の誰からも応援されず、社長が「俺が開発をやる」と言い出してPHPを勉強するところから始めたものですから、やばい社長がトチ狂った、と思われたと思います。しかし一つだけ確信があったのは、新規事業をやるならば社長が一番真剣にならないといけない、という思いでした。

このサービスが「モバイルウォーズ」という名前です。詳しくはこちら

それからは会社に通う時間も惜しんで自宅にカンヅメで開発。3ヶ月でLAMPを使えるようになってリリース。ページビューや会員数は成長を続けていました。売上はゼロなので、社内のリソースは充てられません。空き時間にちょこっと手伝ってもらいながらようやく売上が出るようになったのが半年後。

■初めての自社サービスの売上
全社会で、カードが売れた!という報告をした時は、ようやく金脈を掘り当てた!と鼻高々でしたが、みんなはポカーンとしていました。きっと半信半疑だったのでしょう。今となっては、カードを売るのは当たり前だけど、当時は「1枚のデジタルデータの絵が数百円で売れる」ことが他に無かったので無理もありません。プラットフォームもなかったので、ユーザにはウェブマネーをコンビニで買って来てもらうというハードルを超えるしか策がありませんでした。

こうなってくると社内でも、俺が関わりたい、俺ならもっと良く出来る、というムードになりますが、今のご飯代を稼がないといけないので請負業はまだ辞められません。もうちょっと辛抱しててと言ったり、空き時間に手伝ってもらったり、ということをだましだまし続けていました。

■期待値が上がりすぎて社長交代

少額ながら自社サービスで売上が上がり続けています。念願の自社サービス成功とパブリッシャへの業態転換が、もしかしたら出来るかもしれない、そんなムードが高まってきました。しかし、すぐにうまくいかない事情があります。モバイルウォーズはブラウザゲームなので、サーバへのアクセス負荷が高まった時の対策などのノウハウが足りません。難しい未知の問題を解決するためには、力のある技術者が専従にならないといけません。請負業の片手間でやるのは不可能です。

そのためなるべく宣伝はせず、わざわざ初心者にとっつきにくいゲーム設計をしていました。未知の問題の解決に喜びを感じるような、そんなスーパーエンジニアが専従にならなければ、マスへの展開は無理だ。そのときを待とう。ユーザからは早く会員を増やして欲しい、株主からは早く儲けて欲しい、社員からは早く関わらせて欲しい、そんな声に挟まれて、待て、まだ待て、焦るなと言い続けてきました。

しかし孤軍奮闘。周囲の期待値に煽られて、とうとう折れてしまいました。このサービスなら上場できる、上場を目指せば資金調達できる、調達できれば人材不足の問題は解決できる、株主にそう説得されたものの、自分のなかでは上場する心の準備は出来ていませんでした。そんなに重い責任は負えない、上場を目指すなら社長を代わって欲しい。そうして、社長が交代しました。

■魔法のような資金調達

社長が代わって、社内に一瞬混乱が起きましたが、新社長はあっという間にVCからの資金調達を成功させたことで、会社が目指す方向は定まりました。資金調達したことで、技術者だけでなく、デザイナーも専従になりました。グリーに広告を出して何千人というユーザが一気に増えました。釣りゲームしか知らないユーザは、初めて出会うカード合成ゲームに歓喜し、口コミでユーザが増えました。

人が増えるとデータの信憑性も高まります。ARPPUが1万円を超える高収益サービスであることがわかりました。これが金融機関を説得する材料になり、次の調達につながりました。そして社内リソースは増え、広告への資金投下が数千万円に増え、会員数が数十万人に増え、売上が倍々で増える。モバゲーがオープンプラットフォームになる際に、ローンチタイトルにも選ばれた。ローンチ特権で何もしなくても1日に数千人のユーザが増える。数値を見ると、順調に右肩上がりで成長しているように見えました。しかし。。。

■成功体験が足を引っ張る

デベロッパからパブリッシャへの業態転換は容易ではありませんでした。社内のほとんどのメンバーは自分たちが関わってきた仕事に誇りを持っています。請負業は明日から急にゼロにすることが出来ません。

請負の営業拠点であった東京事務所は閉鎖され、新規営業は停止。既存顧客にも引き継ぎ先を探しながら数を減らしていく。もともとデベロッパ事業を立ち上げた私にとっても、肉を切られるような痛い日々でした。

リーマンショックで請負業の受注が激減したことを期に、デベロッパ事業を別会社に切り出すことになり、会社にはパブリッシャ事業だけが残りました。かなりの荒療治で多くの痛みを伴い、不本意な形でしたが、パブリッシャになるという夢が達成されました。

そして、カード合成ゲームを流行らせたドラゴンコレクションが現れました。遊び方にパテントはないと任天堂の山内さんが仰ったようですが、カード合成システムで特許をとっておけば良かったと思っても後の祭りです。カード合成ゲームは増え続け、モバイルウォーズのユーザの流出を止めることが出来ず、それから1年かけてゆっくりと死に至ります。

■まとめ

こうしてモバイルウォーズの死を見届けて、自分が立ち上げた会社を辞めることになります。

不思議なもので、サービスは死んでも、東北で会社をやる夢は死なず、次の会社を立ち上げるのですが、直後に東日本大震災に見舞われました。さすがに八方ふさがりになり、会社を倒産させて東京の会社に就職するという道を選びますが、いちど決めた東北本社へのこだわりと情熱は消えません。

3年後にまた東北で会社を立ち上げて、今に至ります。

この経験を踏まえてこれからパブリッシャを目指すデベロッパの方に役立ちそうなことは、
1.社内にきらびやかな才能を持つ人材がいること
2.失敗しても問題ない規模で始めること(1年間の売上げゼロを耐え投資回収は3年を覚悟すること)
3.社長自身が誰よりも真剣であること

これらをお勧めして筆を置きます。

 

IoT時代のサービス設計と考え方「モノを喜ばせる」

ITやインターネットサービスは、これまでは、人がネットにつながることを考えていた。
つまり、自分たちがネットにつながって、嬉しいと思うことを考えていた。
これからは、人以外がネットにつながることを考えるようになる。
最初は、モノがネットにつながるようになる。これは、ITじゃなくて、IoTと呼ばれてる。
IoEというワードもあるけど、考える軸がぶれるので、まずはIoTから始まる。

人がネットにつながって嬉しいことを考えるのも、人。サービス提供者も享受者も人、常に人が中心。自分あるいは他人が求めることを考えていた。
でも、これからは、モノが中心。モノがネットにつながることで、人がどのように喜ぶのか?を考えるのではなく、モノが喜ぶことを考える。
感情のないモノが喜ぶはずがない、と考えると思考停止。そうじゃなくて、モノが喜んでいるように人が思える・感じられることを考えるということ。
モノが喜ぶ、だからそのモノに接する人が喜ぶ、という順番で考える。まず最初に、モノを喜ばせる。
この順番で考えないと、いつまでたってもひとりよがりの考え方になる。業者は喜ぶけど、エンドユーザは喜ばない、といったことが起こる。

人は、人のことばかり考えていられなくなった。
多くのモノのなかに存在する人、という視点が、これからは必要になった。
社会生活を快適に送るために、他人を喜ばせる必要があったけれど、これからはモノを喜ばせる必要が出て来た。

モノを喜ばせるということは、今に始まったことではなく、モノを磨くとか箱に入れるとか、むかしからやる人はやっていたこと。
この、「モノを喜ばせる行為」が、ネットによって可視化される。
よくモノを喜ばせている人にはメリットがあり、モノを喜ばせない人にはメリットがない。そんな社会が作られる。
これまでは自分の問題として、誰に評価されるでもなく、ひっそりと行われていた行為がソーシャルな行為となり、モノを喜ばせている人は他の人だけでなく、モノからも高い評価を受けるようになる。

IoTについて考えるとき、人を喜ばせるのではなく、モノを喜ばせることと考えれば、必要なサービスがわかる。

いままでは、ネットに接続する機器を開発していた人だけが、考えれば良かったことで、機器を利用して開発するデベロッパや、サービスを配信するプロバイダーは、機器のことについて考える必要はなかった。ビルドをアップロードするだけでよかった。
これからはそうもいかない。
ネットに接続する機器をどのように喜ばせようとしてるのか?は、デベロッパの提案の一部となる。
ユーザは、提案を見抜く。
提案が良いサービスは、皆んなに愛されるサービスになり、そうでないサービスは見向きもされない。

これからのサービスはスマホの外に出てくる。外に出た部分で、どのように差別化をするかが争点となる。
キーとなるテクノロジーはBLEとiBeacon。
デベロッパはこれらの仕様についてはもちろん、電子工作についてもひと通りの知識が必要になる。
かつて、みんながLAMPを始めたように。objective-cやJAVAを始めたように。
今度は、モノを喜ばせるために、モノについてよく知り、モノとのつながり方について、よく知る。
みんながそうなる時期が近づいてきている。

肉をつくろうと思います

ここ最近、いろいろ考えていて、次にやるべきことが、だんだんくっきりと見えてきた気がするので、メモします。

IoTゲームに事業領域を絞り、活用するテクノロジーをBLEとiBeaconに狙いをつけて、1年いろいろやってきました。ここ最近は、自分でも手を動かして、研究を続けてきました。それで、いろいろ知ってきました。

サービスをつくる際に、アンチテーゼを大事にしています。大きな流れがあれば必ず裏のニーズがあり、表は大手、裏をスタートアップがやる、という役割分担が適切と思うからです。

モバイルウォーズは、アンチSNSとして始まりました。サービスの成長に伴って、戦うだけでなく仲良くするというSNSの顔も持つようになってきました。みんなと仲良くするのが表の姿ならば、誰かとバトルするのは裏の顔。

で、次の大きな流れは、IoT。IoTの表の顔はロボだと思っています。わかりやすいので。じゃあ、裏の顔は何かという。

だんだん、表現の話になってくるかなと思います。
ネット回線が遅かったガラケー時代だから、読み込み時間をドキドキに変えられた、みたいなことがあると思います。
いまはパワフルなスマホ、回線速度もはやい。こういう背景を踏まえて、どうやって個性を表現するのが適切なのかな、と。

いま流行ってるロボへのアンチとして、どういうテーマを選択するのかが個性になると思います。

というわけで、肉にします。これからは、肉を作ろうと思います。

何を言っているか、はしょるとよく分からないと思うのですが、表現なので。。説明してわかるようではいかんと思います。
この本は何が面白いとか、この映画はどこが面白いとか、このコントは何が面白いとか。説明して伝わってはいかんのです。見てもらえないので。
スプラトゥーンだって、イカがインクを塗るって言ったら「は?」ってなって、よくわからないし。でも面白いから、やってみればいいよと誰かに勧められる。そんな風になりたいなと思います。
スマホゲームで肉をつくるって?しかもそれがIoT?どういうこと?とか思ってもらえるといいな。

ちょっと作ってみて、あまり良い表現じゃなかったら、なかったお話になるかもだけど。とりあえずやってみます。