モバイルウォーズ以前に、カード合成進化ゲームが存在したかどうかはわかりませんが、モバイルウォーズには2007年のリリース当初から、カード合成進化システムがありました。
特許を取得しなかったため、発明者として名が残りませんが、当時、多くの方が楽しんでくれました。
さて、新しい市場を作ろうとしたとき、発明することの重要性は高まっています。経緯について、書いておこうと思います。
このシステムを考えた時、参考にしたのは、他のゲームではありません。過去の記憶でした。
中学生のとき、リアルなカードゲームを作って、友達と一緒に遊んでいました。
このゲームのルールは、大きく分けて6つあります。
1、カードの山から一人6枚ずつカードを取り出します。
2、カードには、パワーの数字が書いてあります。これがカードの強さです。
3、「せーの」でカードを場に出してパワーを競い合い、一番強い人が勝ち。
4、勝った人は場に出されたカードを全部もらうことが出来る。
5、持ちカードが6枚になるようにカードの山から補充する。これを繰り返す。
5、山のカードがなくなった時、獲得したカードが一番多い人が勝利。
そんなルールでした。
実は、カードによっては、パワーが何倍にもなる組み合わせがあります。
2枚で出せることもあるし、最大5枚の組み合わせもある。
これを「役」と言います。
5枚の役がそろった時の興奮は、すごいです。
なかなか出さないで、ここぞという場面で出すんです。
ただ、相手も「ここぞ」というときに、役になっている複数枚のカードを出すのです。
最終的な勝利は、今までの獲得カードの合計数が多い人になるので、「いかに相手に強い役を出させて、自分はそれ以上に強い役で勝つか?」という戦略がこのゲームのミソでした。
このゲームを中学生の頃に作って遊んでました。
友達は熱中して、毎日放課後になると、このゲームをやりたくて自宅に遊びに来ました。
モバイルウォーズを開発中、本当はこのルールを導入したかったのですが、5枚のカードを同時に出す、という画面の作り方がわかりませんでした。
でも、ただ1枚ずつ出すというルールだけでは、戦略性がなくてつまらない。
そこで、どうしよう?と考えた結果、バトル中に役を出すのではなく「事前に役を作って、保持しておく」という設計になりました。
バトル中ではない時に、カードとカードを組み合わせて(合成して)、強いカードをあらかじめ作っておくんです。
合成後、2枚あったカードは1枚に減ってしまいますが、パワーが強くなります。強くなったことを視覚的にもわかりやすくするために、カード画像も変更させることにしました。
過去に「役」という記憶があったおかげで、「カードとカードを合成する」という、普通に考えたら不自然な発想が生まれて、でも自然にゲームにとけ込ませることが出来ました。
さて、今ほど発明が求められている時代は、過去になかったのではと思います。
でも一方で、発明しなければいかんという危機感は、なかなか高まっていないとも感じています。
もし、あちらこちらから、素晴らしい発明が次々と生まれてくる環境であるならば、自分も負けじと次ぎの発明を頑張ろうと思えます。
でも、他人の発明を盗むことに一所懸命な人で溢れているのならば、誰が発明をしようなどと思うでしょう。
盗む方が楽かも知れない。
発明には時間(トライアンドエラー)が必要だし、自分の過去の経験の切り売りが必要です。
素っ裸の情けない自分を、さらけ出す作業です。
自分の身を削る作業なわけです。しんどいよね。
でもね、これをするから、面白くなるんじゃないか。
こういう人が増えていかないと。
最近は、若い方との交流が増えて、こんな質問を受けることが増えました。
「将来ゲームを作りたいけど、どんな資格をとるといいですか?」
こんなアドバイスをしています。
何でもいいから、遊ぼう。
一人で遊ぶんじゃなく、みんなのリーダーになって遊ぼう。
君の考えた遊びで、友達を興奮させよう。
君と遊びたいがために、毎日放課後、君の家に遊びにくる友達を、一人でも多く増やそう。